作家・佐々木譲 北方領土「2世には生活の問題」(産経新聞)

 【話の肖像画】辺境より(中)

 −−北海道に住んでいることは、作品にどう反映されていますか

 佐々木 自分が生きてる場所から、視点や題材、これを書いてやろうと思うものを発見することが多いですね。

 −−場所は重要な要素

 佐々木 北海道でも、それ以外の土地でも。いま単身赴任のような感じで、妻子は東京の谷中(やなか)に住んでいます。「警官の血」という作品では、存分に東京の地元感を出したつもりです。

 −−合点がいきました。でも単身赴任は寂しいですね

 佐々木 女房に言わせると私、書いてる間は人間じゃなくなるらしくて(笑)。ささいなことにいらだつし、集中を切らされると怒る。元気で仕事してくれればいいということのようです。

 −−親御さんが択捉島出身ですね。道東に住まいを定めたことと関係はありますか

 佐々木 いま思えば、風景や風土に惹(ひ)かれていたという気がしますね。ほんの数キロ走れば高台から国後島が見えます。自分のルーツは東の方にあると意識していたんで、仕事場を決めるとき、自然に場所を選んでいたように思えます。

 −−択捉島についてはルポも書かれていますね

 佐々木 島民2世として行くことが多かったんです。3年前に初めて政治的な運動をしている人たちと行ったんですが「500年かかっても取り返す」といわれて、なんだかずれてるな、と感じました。

 −−というと

 佐々木 500年解決しなくてもいいんですか、と言いたくなる。島民2世には、目下の問題なんですね。家族が墓参りにもいけない。行き来の自由ぐらいはすぐに何とかならないのか。私たちにとって北方領土は理念の問題ではないんです。

 −−次の予定は

 佐々木 行こうと思えば毎年でも行けるんですけど、時間が取れない。次はいつになるかわかりませんが、ルポやエッセーを求められれば書きますし、写真も提供しますよ。(篠原知存)

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