そのときベスーン被告はメモを取る手を止めた…びっしり書き込まれたノート SS元船長第2回公判ライブ(産経新聞)

【法廷ライブ SS元船長第2回公判】(4)

 《1時間25分の休廷を挟み、調査捕鯨船団の監視船「第2昭南丸」に乗船し、顔面を負傷したとされている○○さんの証人尋問が再開された。○○さんはゆっくりとした足取りで証言台に向かった。環境保護を標榜(ひょうぼう)する米団体「シー・シェパード(SS)」元船長のピーター・ジェームス・ベスーン被告(45)は右手で左手首を握りながら、証人の動きを見つめる》

 多和田隆史裁判長「弁護側から反対尋問があります」

 《傍聴席から見て一番奥に座る男性弁護人が立ち上がり、弁護側の証人尋問が午後2時15分まで続くことを告げる》

 弁護人「シー・シェパード側からランチャーで物を撃ち込んできたのは平成21年度の23次調査期間中が初めてですか」

 証人「はい」

 弁護人「ランチャーにより撃たれた酪酸(らくさん)入りの瓶が船に着弾したのは(○○証人が負傷したとされる)平成22年2月11日が初めてですか」

 証人「はい」

 弁護人「それまでにランチャーを使用して何かが撃ち込まれたところを見たことはありますか」

 証人「ありません」

 弁護人「11日の出来事を尋ねます。ベスーンさん(被告)が乗るボートが近づいてきて、併走しているのを見ましたか」

 証人「はい」

 弁護人「そのとき、ベスーンさんがランチャーを構えているところを見ましたか」

 証人「はい」

 《弁護人は大型モニターに船の見取り図を映し出し、○○さんが当時いた場所を確認する。○○さんは左舷のコンパニオン(ブリッジ下の構造物)近くの上甲板にいたことを証言する》

 弁護人「そのとき、かぶっていたヘルメットのフェースカバー(ガード)を下ろした状態でしたか」

 証人「よく覚えていませんが、下ろしていたと思います」

 弁護人「上甲板にいるとき、海からの波しぶきをかぶることはありますか」

 証人「海の状態によります」

 弁護人「2月11日は海は荒れていましたか」

 証人「そこまで大きな波はなかったと記憶しています」

 弁護人「海水のしぶきを体に浴びる状況ではなかったということですか」

 証人「はい」

 弁護人「(ボートの上の)ベスーンさんを見たとき、フェースカバーはぬれていましたか」

 証人「よく覚えていませんが、ぬれていなかったと思います」

 弁護人「視界は悪くなかったということですか」

 証人「はい」

 弁護人「ほかの日のことでも結構ですが、フェースカバーを下ろした状態で海水を浴びた経験は?」

 証人「ありません」

 弁護人「海水が水滴より細かい霧のような状態で体にかかったことはありますか」

 証人「あります」

 弁護人「そのとき、フェースカバーを下ろしていて中に(海水が)入ってきましたか」 

 《弁護人は、フェースカバーを下ろしていながら酪酸が顔にかかったとする検察側の主張に疑問を持っているようだ》

 証人「なかったと思います」

 弁護人「さきほどの実験のようにフェースカバーを半分ぐらいまで下ろしたとき、海水のしぶきを顔に直接浴びたことは?」

 証人「ありません」

 弁護人「ベスーンさんがランチャーを発射する瞬間は見ていないと証言していましたね?」 

 証人「はい」

 《ベスーン被告が後方の弁護団の方を振り返り、しきりに何かを訴える。尋問をしている弁護人とは別の男性弁護人が小声で応じる》

 弁護人「そのとき、上方(のブリッジ)を見上げたと言っていましたね。自分の方を撃ってくると思わなかったのですが」

 証人「ランチャーの筒先がブリッジの方を向いていたので、直接狙われるとは思いませんでした」

 弁護人「身の危険は感じなかったのですか」

 《証人はすぐに返事をしない。女性通訳は少し首をかしげながら、証人の言葉を待っている》 

 証人「もう1回、お願いします」

 《弁護人が同様の質問を繰り返す》

 証人「安心はしていませんでした」

 弁護人「見上げていたとき、立ったままでしたか。かがんだり、座った状態でしたか」 

 証人「立った状態でした」

 弁護人「恐怖を感じたとき、身をかがめたり、ランチャーを凝視して自分のところに撃ってこないか確かめたいというのが一般的な心理だと思います。なぜそうしなかったのですか」

 証人「ブリッジを狙っていたので、そっちを見ました。自分が狙われるとは思いませんでした」

 弁護人「ランチャーが発射されたとき、フェースカバーはどこまで下ろしていましたか」

 証人「鼻のあたりです」

 弁護人「恐怖を感じたとき、なぜ下まで下げなかったのですか」

 証人「短い時間に起き、そこまで考えていなかったです」

 弁護人「ランチャーが撃たれてから、目などに痛みを感じるまでの時間はどれくらいですか」

 証人「5秒以内でした」

 弁護人「ガラスの破片が降ってきて、それを浴びましたか」

 証人「ありません」

 弁護人「上の方から液体が降ってきて、浴びた感触はありますか」

 証人「ありません」

 《弁護人は証人尋問を通じて、○○さんの近くに酪酸入りの瓶が着弾していない可能性をあぶり出したいようだ》

 弁護人「霧のようなものが降ってきた感触は?」

 証人「ありません」

 《さきほどベスーン被告と話していた男性弁護人が後方からノートをベスーン被告に手渡す》

 弁護人「顔に痛みを感じてからコンパニオンまで移動したときは1人で歩きましたか」 

 証人「誰かが近くにいたと思いますが、覚えていません」

 弁護人「介添えされて歩いたか、1人で歩いたかは覚えていますか」

 証人「歩いて移動したのは間違いないですが、そこは、はっきり覚えていません」

 弁護人「シャワールームに移動するとき、ガラス片を踏んだ感触は?」

 証人「ありません」

 弁護人「ジャリジャリした物を踏んだような感触はありましたか」

 証人「なかったと思います」

 弁護人「2月11日に(母船「日新丸」に乗る)船医に電話して、直接話をしましたか」

 証人「無線で話しました」

 弁護人「あなたが無線を使って、連絡したのですか」

 証人「診断してもらうために症状をしゃべりましたが…。すみません、質問の意味が分かりません」

 弁護人「直接、会話したのですか」

 証人「はい」

 弁護人「船医に様子を口頭で伝えたのですか」

 証人「はい」

 《弁護側から手渡されたノートにペンを走らせていたベスーン被告が手を止めた。ノートがわずかに傾き、書き込んでいたページが傍聴席に見えたが、半分近くが文字で埋まっていた》    =(5)に続く

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